【短編小説】望と現と中原中也と
小説 短編 文豪とアルケミスト最高ランク : 16 , 更新:
【前置き】
文アル中也がきません((
ピ○シブとかだと「描けばでる」「描けばくる」なんですけど
私の場合
✕ 描けばでる
⚪ 書いてだす
ですから((
夢小説とかじゃないです、主人公は男です((
おまけに司書じゃない((
文アルの雰囲気と設定を借りた何かだと思って見てください
文アル知らない人はよく分からないかも((
あとほぼ即興なので(主人公の名前とタイトルしか決めてないw)話おかしいかも
占ツクでやれ?
これだけのために作品作るのがめんどいし、占ツクには嫌な思い出が((
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
清く、正しく、生きたかった。どこかのアニメの主人公のように。主人公というものは、大体にして仲間を大切にし、明るい世界を夢見ていた。僕にはそれが不可能だった。
僕の名前は中林宙也。なかばやしひろなり、と読む。中一の時に親が離婚し、僕は母親についていった。弟の金也ーーかねなり、と読むーーは父親に。それから十年近く経つが、未だ金也とは再会していない。どこぞのアニメのように、親に隠れて会ったりスマホで連絡を取ったりなんてするわけない。
父親の苗字は二宮だった。小学生の頃は良かったのだ。二宮宙也なんて、某事務所のアイドルと一字違い。……顔は全く似ていなかったが。そのせいか、アイドル好きの女子が近付いてきたことさえある。
だが今はどうだ。中林宙也。かの有名な詩人と二文字違い。そう、中原中也である。国語の教科書に載っていた詩人に名前が似ていたというだけで、中一の頃はかなり馬鹿にされた。
そして、ひろなりという名前の漢字を、音読みにしてみる。ちゅうや。完全に一致する。おまけに、平均よりも低いこの身長のせいで、僕の中学時代のあだ名は「ちゅうや」だった。どこまでそれが広まったかというと、顔も名前も知らない先輩ーーもしくは後輩ーーに「あれちゅうやじゃね?」と言われるほどだ。
自分で言うのもなんだが、もともと僕は、本好き、文学好き。小学生の頃は子どもむけの「トロッコ」「銀河鉄道の夜」を読み、中学生になると「人間失格」「痴人の愛」を読み始める。だんだん年齢が上がるにつれ、僕はその年齢にあったーーもしくは、そのちょっと上のレベル、とでも言えばいいのかーー文学作品を読み漁った。所謂、文学少年。
萩原朔太郎や、北原白秋は好きだった。ただ、中原中也だけは好きになれない。中学生の頃も、今もだ。名前のこともあるが、あの、何とも言えない厨二病さが嫌い。僕から、中也を遠ざけているだけだ、と言われるかもしれないが、僕は彼が兎に角嫌いだった。だからーーと言うのもおかしいが、僕は太宰治が大好きだ。
そんな彼の素性をはっきり知ったのは、中二のとき。似た名前通し、なんとか好きになれないかと、中也について調べたことがある。そこに出てきたのは、とんでもない中也の奇行。
太宰治、檀一雄、草野心平。どれも僕の好きな方々。いくら酒が入っているとはいえ、あれはやり過ぎだ。本当にどうかと思う。好きになろうと調べたつもりなのに、嫌いなところが増えた。
そんなわけで、僕は中原中也だけは好きになれない文学少年ーーもとい、文学青年になった。
図書館は好きだ。古くさいような、インクの匂い。分厚い本から薄い本まで、一通り揃ってる図書館。ただ単に、僕は本に囲まれるというこの空間が好きだった。中学時代、部活ーー文化部は美術部と吹奏楽部と合唱部しかないため、美術部だった。当たり前だーーのない休日(がほとんどだったが)は一日中図書館に引き篭もっていた日さえある。
今日も僕は図書館に来ていた。小説家志望のフリーターは、平日も気楽に図書館に行ける。フリーターとはなんて素晴らしい! ……決してニートではない。
平日はやはり利用人数が少ない。カウンターらしきところにいる、若い三つ編みの司書さんを軽くスルーして、僕は奥の方へと進んだ。
大きなアンティーク調の机と椅子ーーいつもの席、というやつだーーに腰掛け、僕は芥川龍之介の「歯車」を開く。これを読むのはおそらく二回目。名作は何度読んでも面白いから名作なのだ。
「おっ、まさか芥川先生読んでるの? 君、センスあるね!」
夢中で読んでいたために、急に掛けられた声に驚いて肩を震わす。声のした方向を見ると、赤髪の青年が、僕の方を見ていた。芥川先生、と呼ぶからには、少なからず芥川龍之介のファンなのだろう。僕と同じ文学青年か。
彼は前髪の左側を三つ編みにし、高そうな羽織ーーなのか?ーーを身に着けている。……ネクタイの位置は、あれは分かっていてやっているのだろうか? まぁどうでも良い、兎に角「何か間違ってませんか?」と言いたくなるファッションだ。
「えっ、あ、あの、はい……?」
本くらいしか友達のいない僕は返事に戸惑ってしまう。そんな僕を見て、青年はクスリと笑った。
「ね、太宰治は!? 読まないの、太宰治は?」
「大好き、ですけど」
随分と推しの強いやつだ。大好き、というと彼は周りに花が咲きそうなくらい、嬉しそうに笑う。パアッ……という擬音語がお似合いだ。いや待て、何故お前が嬉しそうな顔をしている。
「ふっふっふっ、やっぱりファンだったんだね……君、名前は?」
いやだから何故お前が。コイツは、多分僕以上に文学が好きなのだ。だから、自分のことじゃなくても嬉しいんだ。友達が嬉しいなら自分も嬉しい! 的な感じだ、多分。……友達いたことないけど。
「中林宙也ですが」
その後、ひろなりってどう書くの? と聞かれいつものように「宇宙の"ちゅう"に、"や"と読む漢字の"なり"」と説明する。也の字の説明は面倒なので、これでも分からないと言われそうなものなら、池の右側のやつ、と答えるようにしている。案の定、返ってきた言葉は、
「中也じゃん」
だった。もう慣れた。
それよりも、彼が、面白がるように、それでもって嫌がるように、曖昧な表情で中也と言ったものだから、そちらのほうが気になる。
「中原中也は、嫌いなんです。だから名前を出さないでいただけると」
僕がそう言うと、青年は、一瞬驚いて、そして安堵したような表情。ますます、心情の読み取れない男だ。
「俺も……中也だけは無理。ホントに」
なぜか疲れ切ったようなトーンで話す青年。中也に関して、何かあったらしい。それから彼はボソボソと何か呟いていたが、僕にはよく聞き取れなかった。
「酒ばっか呑んでてろくでなしで……あぁ、これ聞かれてたら相当まずいなぁ……でもさ」
何がまずいのかは分からない。近くに中也好きの友人がいるのかもしれないが。それよりも、後のでもさ、の次が聞きたい。なぜあそこで言葉を切った。
「アイツの書くものは良かったよ、天才っていうやつかな」
ニカッと歯を見せて笑い、赤髪の彼は言葉を続ける。「書くものは、だからな。アイツは嫌いだ」とかなんとか。
「んじゃあ俺そろそろ行くわ。司書に呼ばれてるんだよなぁー」
司書、と言ったか。じゃあ彼は図書館関係の人だったのか。……あんな格好で?
僕の中では、まずそんな考えが浮かび、そして自分も名乗ったのだから名前を聞けばよかったという思い、最後に中也嫌いが中也の作品を褒めたという事実が浮かび、そしてどれも消えた。
僕は、芥川龍之介を返し、代わりにな行の作品を漁った。
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これだけ書いたからきっと中也も来てくれるよね!!!?←
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