#1 Lovers
創作 小説 #1今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:358 hit
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#松村北斗
#SixTONES
#七五三掛龍也
#Travis Japan
#略奪愛
最近ね、彼氏とうまく行ってなくて。
泣きそうになりながらカフェオレのカップを握るカエデ。
俺はよくカエデに相談されるけど、ここまで深刻そうなのは久しぶりだ。
「龍也くんだよね?」
コーヒーをくるくる混ぜながらカエデに聞く。
「その名前言わないで、泣きたくなるから」
泣けばいいのに。
俺のその言葉を引き金に、カエデは泣き出した。
「私はまだ龍也くんのこと好きなんだけど、龍也くんはもう私のことなんか好きじゃないみたい。飽きられちゃったのかな、私」
とめどなく溢れる言葉は、カエデの吐血だ。
それは、真っ赤な鮮血だ。
繊細で、脆くて、同時にひどく美しい。
俺はそんなカエデにかけるべき言葉を持ち合わせていなかった。
別れちゃえば。
傷ついたような、カエデの表情を見て自分のずるさに腹が立った。今のカエデに、一番掛けるはずではない言葉を鋭い弾丸として打ち込んでしまった自分の不甲斐なさにどうしようもなく腹が立つ。
ぽろぽろぽろぽろ、と今までの涙とは違うスピードでカエデの涙がこぼれ落ちた。
恋に悩んでいるときの女の子を貶めるなんて、最高にずるくて、最低なのに。俺は痛々しいカエデを更に傷つけた。
一番ずるい方法で。
「……北斗くん」
涙でぐしゃぐしゃになったその顔さえも美しく思える俺は、重症だろうか。恋愛で悩む好きな人を見守ることほど、酷なことはないというのに。
カエデに嫌われたとしても仕方ないと思った。どんなひどい言葉を浴びせられても仕方ないと思った。それほどのひどい仕打ちをした。
「好きにして」
カエデ史上、一番綺麗な笑顔だった。
きっと彼氏も見たことがないはずの、史上最高に綺麗でずるくて悪い笑顔だった。
数時間後、俺の隣にカエデはいた。
用途は一つしか無いはずの、必要以上にけばけばしい建物の部屋の中で。
俺は、素肌のまま布団にくるまれるカエデを見る。何も見えていない王なカエデの目から目が逸らせなかった。
「何、北斗」
口を尖らせるカエデは、悪い顔をしていた。
「龍也くんはもういいの?」
意地悪に、いたずらに聞く。
唇の端から笑みをこぼして、カエデは言った。
「知らない」
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@rey_taiki
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