遥けき想いは海の底 4

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更新： 2017/05/20 12:51:39

遥けき想いは海の底 4

学校を飛びたして直ぐに海へ向かった。
幸いうちの学校から海へはそう遠くなく、ひと気もあまり少ない決行の穴場スポットだ。

海まで走り、息を切らしながら海へとつかった。
靴下も靴も何もかも脱がずに、冷たく心地良い全てをさらけ出せる海へと思い切りつかった。

瞳を閉じて、深い深い海へと潜った。
綺麗な海の中は瞳を開ければ別世界だ。
綺麗過ぎて…美し過ぎて。でも、懐かしい。この気持ちは何なんだろう。
いや、わかってる。
全てわかってる。
なのに、ひた隠しにしてきたんだ。

暗く沈んだ、誰にも気付かれない位置に存在する暗黒の歴史。

それらに全て目を瞑ってきたんだ。

甘くて懐かしい。
広大で自由。
何者にも縛られない、海の中。

嗚呼…

なんて、気持ち良いんだろうか。

ふと、魚と目があった。
魚は笑った。
自分も笑った。

嗚呼…嗚呼…！！

声は、いまだに出せない。

それが、全ての呪縛と自由を司る世界の物語。