【小説】ベゴニア
小説最高ランク : 55 , 更新: 2018/01/07 18:43:23
(゚、。).。o○(制作時間、多く見積もっても一時間弱の汚駄作です。お目汚し失礼致します)
「芋虫さん、芋虫さん。貴方は何処に居て何をしてるの?」
「またその質問? 俺は此処にいて水煙草を吸ってるよ」
「……大悟してるのね」
「アンタ、そんなことを皆に訊いて回ってるのかい?」
はだけたままの服を着た芋虫さんが、呆れたように水煙 草を吹かし始めたので私は尋ねてみた。そうしたら案の定昨日と全く一寸も変わらぬ答えを出したものだから、私はほっとして、大悟してるなんて変なことを言ってしまった。
「それじゃあ次は此方から質問だ」
芋虫さんはアタシのことを全く見ずに、疲れたのか足を 組み換えて口から水煙草を離してその精端な顔に微笑を湛えながら言った。
「アンタは何処に居て何をしてる?」
芋虫さんはいつもこうだ。狡い。その一言に限る。アタ シが答えられないのを知っていてこんな意地悪いことを言う。だからアタシ、つい、大きな目を餓えた獣のようにギ ラつかせてこう答えてしまったの。
「アタシは此処に居て、芋虫さんとお話ししているの」
そう言っちゃったらもうアタシの敗け。芋虫さんは細い 目を更に細くして薄い唇に弧を描きニヤリとニヒルに笑って「ほォ。大悟しとる」って楽しそうに言うの。
アタシは悔しいからアタシの得意なスポーツで芋虫さん と勝負するんだけれど、でも、如何しても勝てない。いつもアタシの敗け。
「三月ウサギさんから、芋虫さんはスポーツが苦手って 訊いたのに。狡いわ、狡い。ちゃんと苦手じゃないと狡いわ」
アタシは芋虫さんの乗っている茸より一畳ほど狭く小さ い茸の上で足をばたつかせた。こんなに小さな子供のよう に足をばたつかせたのは久し振りかもしれない。アタシくらいの子がばたつくと言ったら、プールの授業くらいだから。
芋虫さんとアタシの距離は三十センチメートルも離れていて、芋虫さんがアタシの上。アタシは芋虫さんの足元にも及ばない。だから悔しくて悲しくて切なくて、毎日々々ハートの女王様のお城から歩いて茸の森まで来て、芋虫さんとお話しする。
アタシって、負けん気の強い厭な女かもしれない。だか らかしら。アタシがいつも芋虫さんに敗けているのは、アタシが厭な女だからかしら。やっぱり男の人はか弱い女がいいのかしら。でも、それって、
「つまらない」
「飽きたなら何処かに行けば? 今日はこの先を真っ直ぐ 行って三つ目の分かれ道を右に曲がったところで、三月ウ サギとイカレ帽子屋と眠りネズミが茶会を開いてるぜ。アンタ、いつも行ってるだろ」
「別に、飽きたわけじゃないのよ。つまらないのはつま らないけど、でもそれって、しょうがないことだと思う の。アタシだって、気の弱い殿方はあんまりだもの」
アタシの言っている事が分からないのか、芋虫さんは小 首を傾げてうんうん唸ったかと思うと突然弾かれたようにパッと顔を上げた。
「アンタ、また意味もないこと考えてるだろ」
合点がいった、と芋虫さんは叫んだ。
意味もないことなんて、言わないで。芋虫さんには如何 でもいいことでも、下らないことでも、アタシにとっては大事なことなの。そう言えればどんなに楽なのかアタシは知れない。けれど、アア、そうやって得意気に笑うものだから芋虫さんは狡い。
(゚、。).。o○(大悟した=めっちゃ悟ったらしいです。一応有栖川さんの二次創作として作ったのですが、全くの別物になってしまいました。まず世界観から合っていませんね。さては私、二次創作する気なかったな?)
二次創作ありがとう……!
芋虫さん好みだよ……私もいつか他のキャラを出そうとは思ってるけどなかなか出せないでいる……
別物だとしても面白かったよ、ありがとう(笑)
妃有栖
2018/01/10 3:00:23 違反報告 リンク
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