読書録vol.2『アルジャーノンに花束を』
読書 本の虫"見習い"の読書録最高ランク : 9 , 更新:
『ひとにわらわせておけば友だちをつくるのはかんたんです』
久しぶりに感動しちまったよ……泣くまではいかなかったけれど(涙腺激強)。
まず読んで後悔はしません。むしろ今まで読まなかったことを後悔するレベルです。
──最後まで読むことができたなら、の話ですが。
別に内容自体はそこまで難しいものではありません。
あらすじ説明をしましょう。
主人公であるチャーリイは、三十二歳になっているにも関わらず、幼児程度の知能しかない男です。しかしある時、大学教授からあなたの頭をよくしたいという依頼があり、賢くなりたいチャーリイはもちろん快諾。
手術後、彼は劇的な速度で様々なことを吸収していき、天才となるが──。
この「が」が問題なんです。
普通に「が」なんです。「天才となるが」なんです。
なんで「が」かと言いますと。
皮肉とかで言ったこと(または言われたこと)ありませんか?
「バカは幸せそうでいいね」
とか。
そうです。バカと天才だったらどう考えても天才の方が人生楽しそうですが、天才には「頭がよすぎるが故に」ということがたくさんあるのです。
その上、主人公のチャーリイはほんの少し前まで幼児程度の知能しかなかったのが急激に天才になったのです。
彼は、知らなくてもよかったのはずの様々な事実を知ってしまうのです。
自分のような知的に遅れた人間を息子と持った、母の気持ち。
自分が友達だと思っていた人間の本性。
そして自分の頭をよくしてくれた教授の本当の目的。
こうしてチャーリイが事実を知っていくシーンは、読んでてとてもしんどくなります。
そして、この「しんどい」という感情は、あなたが「根はいい人」であればあるほど大きくなっていくはずです。
読んでいる間は、その事実に対しチャーリイと共に憤ることができます。
でも、1歩引いて考えて見た時に、ふとこんな疑問が湧いてくるはずです。
「私だったら、そんなひどい行動を本当にとらないのか? 登場人物と同じことをしてしまうのではないか?」
──と。
そして気づかされるはずです。
汚いのは決して登場人物だけじゃない。チャーリイの周りの人だけじゃない。
きっと自分もそうなのだ、と。
私自身、読んでて「しんどい」を通り越して「怖い」と感じてしまう時もありました。
怖いのは何者でもありません──差別をしてしまうかもしれない自分自身です。
ただ。ただです。どれだけ読むのがしんどくても、自己嫌悪に囚われまくっても、この本は絶対に最後まで読んでください。
この小説は、きっと最後まで読んで初めて完成される小説なんです。
もちろん全ての小説がそうなんですが、「アルジャーノンに花束を」はその最たる例だと思います。
ラストの美しさは、私が今まで読んだ本の中でも五本指に入るくらいの美しさでした。
なんというのでしょう──強いて言うなら、「希望」を感じさせてくれるような、大変素晴らしいラストでした。
繰り返します。この本を読むというのはめちゃくちゃしんどい行為です。重たいです。心の中に重たい石を放り込まれたかのように感じるレベルにきついです。
──ただ、それを越えるからこその、きっと他では得られない糧があります。メッセージがあります。それも、読んだ私たちの人生の指標にもなり得るような。
ストレス発散や趣味での読書ももちろん楽しいです。むしろ私の読書も99%そんなもんです。
ただ、こうして少し「頑張る読書」をしてみるのも……ちょっと素敵だと、思いませんか?
夏休み、読書感想文も近いですしね!(小声)
5歳児な初心者さん→いえいえ、概ねそんな感じだと思います。
逆に私はドラマの方を見逃しちゃったんですよね、今度どうにか見て原作との違いを確認してみたいです。
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