フィクションの小中時代話

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NHKでやってるドラマを時折見がちなので、NHKのドラマにありそうな話になってると思います(多分)


I...主人公。S、Lと友達。プライドが高い。友達と三人で共通の好きなゲームがある。(♂)
S...IとLの友達。絵を描くのが好き。(♀)
L...IとSの友達。マイペース。(♂)



*





幼少期から物心ついたら遊んでいるゲームがあった。
小学校も高学年に差し掛かるあたりで、そのゲームのシリーズを遊ぶ人、遊ばない人などが出始めてきて、変わらず遊びつづける人は、ゲーム中の内部値だとか、それを用いた対人戦を行う者とか、あるいはキャラクターのビジュアルだとか、そのゲーム”っぽい”世界観を自分でも作って描いて遊ぶとか、そういうことをする、もしくはしたがる人たちが、続けて遊んでいた。
漏れなく僕もその一人で、自分に一番近しいそのゲームとの向き合い方は”対人戦”をいちばんに意識したプレイスタイルだった。なぜなら、これは競争で、この競争の末に”インターネットランキング1位”だとか、”世界大会優勝”だとか、具体的な”王者”になれる目標があったからだ。その事に憧れて、僕はそのゲームを”ただ遊ぶ”ことから、”具体的な目標に基づいたプレイ”へと、ゲームとの向き合い方を変えていった。
戦い、敗北し、もしくは勝利し、その度に気付きを得る。かつて勝てないと思っていたプレイヤーにリベンジし、勝利する。成長を実感する。ネット上の界隈で、ぽつりと”あいつ強くなった”という言葉を目にし、嬉しくなる。注目を浴び始めてきたのだと思い、嬉しくなる。それは自分を支える明確な自信の糧となって、日々の自分を舞い上がらせた。
だがその”舞い上がり方”は、いいものではなかっただろう。
小学校生活で当時僕がつるんでいたのは、自分と同じ、そのゲームシリーズを遊んで、キャラクターイラストを描いていた女子生徒S、少し独自の拘りを以てプレイしていた男子生徒・Lがいた。
ある日のこと。彼・彼女に、僕は自慢げに、大声でわざとらしく話した。「僕さぁ~昨日○○さんに勝ったわ~知ってるあの人?実況者界隈でわりと強い人らしいけど勝った!してランク上がってさぁ~」などと吹聴しては、その試合記録が残っている配信を見せつけるといった、一方的な行いをかました。別の日では、彼・彼女に、勝敗の結果を半ばわかっていつつも、あえて対戦の約束を持ちかけ、圧勝するということをした。しかしだ。
その日のことは未だに覚えているのだが、僕が勝利して喜んだ数分後、彼・彼女には即帰宅された。以来数日、口を聞いてもらえなかった。口を聞いてもらえない理由が、自分にあると感づきはじめて、二人には謝った。
「ごめん」と。その返事はどんなものだったかあまり覚えていないが、謝罪して更に数日経った後、再び、少しずつ会話をするようになり、元の距離感に戻った。
ただ、この時以来、少しずつ思うようになった。
お互い同じものを好きだったとしても、関心がある内容・口にする話題は違うのだ、と。
3人で会話をすると、LとSの方が話題に共通項があるらしく、僕以外の二人の方が盛り上がっていることが多かったようにも思える。

そんなことに少しばかり気付き、このとき初めて、寂しさを覚えた。

それはそうと、そして、この寂しさも心底ではバネになり、ネット上での対戦も、活動もより熱中するようになった。
そんな風に日々は過ぎて、小学校を卒業した。

中学生になった。
あまり運動をしたくない僕は、「小学校で図工の授業が好きだったから」程度の理由で美術部に入部した。小学校時代、よくキャライラストを描いていたSも同じく美術部だった。
入部当初こそ、僕はSとよく会話をしていたものの、やがて僕もSも、違う人物と話すようになった。それこそ座席も全く遠い位置で部活中の時間を過ごす日々が当たり前になった。部活中のSの声が時折、離れた座席から聞こえた。心の底から、というくらいの大きな笑い声と笑顔で周囲の仲間と話していた。そんなSの表情を、僕は見たことがなかった。いや、これに近しい表情で、LとSが話していたことがあったかも。そんなことを思った。
...とてつもなく寂しくなった。同時に、なぜ寂しくなっているんだ、と、自分のことがわからなくもなった。
白状する。先は、”違う人物と話すようになった”と書いたものの。一年次の僕は、部活中は”ぼっち”だった。それが、自分の寂しさや悔しさという気持ちを後押ししていた。周囲はむしろ僕に優しくしてくれたし、何かと話しかけてくれた。それはSもそうだった。更に言えば、男子の先輩の中でも少しひょうきん者の気があるWさんは何かと僕に話しかけてくれた。けど、そういった気遣い全てが妙に悔しくて、僕は自分から心の壁を作りながら活動に臨んでいた。
しかしこれも最悪で、部活中考えていることといえば、むしろ制作のことより、ゲームでの対戦のことばかり。あそこでどう立ち回れば、どうステータス配分をすれば、今のトレンドの構成は...それに対してどう対策すれば...。制作をしている傍ら、ノートにひたすら自分の思考の跡を書き巡らせていた。そんなこともあり、部内の1年次の僕の”絵の上手さ”は中の中、と言うところに留まっていた。ぼっちなのにそんな立ち位置ということに、引け目は多いに感じていた。ましてや、Sの存在だ。
Sはこの一年間、どんどん絵が上手くなっていた。とても楽しそうに、日々仲間と笑い合いながら、楽しそうに絵を描いていた。
悔しいことだけど、ある日、Sの絵をみて僕は、「うわ、かわいい」と心底思った。思わず一瞬、ほんとうに小さな声で「かわいい」と声が漏れ出てしまった瞬間、ばつの悪いことにSが僕の横を通り過ぎた。そのときSもつぶやき、返した。「ありがと」と。
悔しかった。自分より上の存在ということを、本能的に認めてしまう自分。今までの自分は何をやっていたんだ、という自責の念。
そんな諸々の気持ちがありつつも、プライドが僕の邪魔をした。
Sには、絶対に、自分から話しかけない。距離を近しくしない。
相も変わらず、僕はぼっちを貫いた。しかし、制作から脱線してノートに何かを書き留める、という時間は減った。
だが、制作により集中したからといって、自分がどんどん上手くなる、ということもなかった。むしろやればやるほど、もっと上手い周囲と自分の差が分かってきて、辛い感情が僕を襲った。しかし、僕はぼっちだった。
その辛さを誰に打ち明けることもなく、一人制作に向き合う部活生活が続いた。
帰宅した後にネット対戦をしようとも、以前よりも勝てなくなった。
部活でもうまくいかない。
インターネットでも調子が上がらない。
苦しさでいっぱいになった。

一年次の最後の学年テストで、僕は中学生活の中でも自己最高点を記録した。
百何十人という生徒数の学年全体で、5位を記録した。いつもはほどほどに勉強をし、20位前後をうろつく僕だったが、この時は勉強に打ち込んだ。
むしろ、部活や対戦のことを忘れ、勉強をする方が楽だったからだ。

この時、担任や、親や、クラスで一番勉強ができる人から褒められたり、声をかけられたけど、
上の空の気持ちだった。...褒めてくれた人には、本当に申し訳ないけれど。
ほんとうに褒めてもらいたいのは、Sにだ。ネット対戦で自分と同い年くらいで、自分よりたまに強いあいつにだ。
褒めて貰いたいのは、僕の作品のことだ。僕の対戦での強さのことでだ。
そうじゃないことで褒められたって。褒められたって...!

数日後の部活で、以前Sが美術の授業で描いたポスターが何らかのコンクールで受賞したことが話題になっていた。周囲の仲間が、そのことでSを褒め称えていた。照れくさそうに笑い、しかし嬉しそうにしているS。そんなSをからかう周囲の生徒と先輩。先生もそれに混じる。その様子を傍目に、僕は黙々といつもの席で、ひとり制作作業を続ける。

皆、何かしらSに声をかけていた。だから僕も、Sに声をかけないわけにはいかなかった。
部活動の終わり際、片付けに入る最中、少しの勇気を出し、この日は例外なんだ、と心に念じて、義務感から僕はSに話しかけた。
「入賞おめでとう。すごいじゃん」
素っ気ない態度で、言った。
「え、ありがとう!嬉しい!」
「てか、Iも今回のテストで2位取ったんだよね?順位めっちゃ高くてほんとすごい!Iもおめでとう!めちゃくちゃ頭良い!」
Sは明るい表情で僕に返した。どこからそんな話が漏れたのか、しかも実際の順位より盛られてるし。僕が褒めた以上に、Sは僕のことを褒め称えた。
この時の会話は、それから一言二言交わす程度だった。
美術室を出た直後。
「I、今日一緒に帰れる?」
Sから声をかけられた。急な誘いに驚いて、ほんの少しだけ間を置いて、僕は「う、うん」としどろもどろに返事をした。Sは小さく、「ありがとう、やったぁ」と、独り言なのか返事なのか分からない声を出した。この時初めて、僕はSのことを可愛らしく思ったのと、同時に、Sはそんな風なリアクションをする人だったっけ、とも思った。いつの間にか、Sは以前に増して明るく朗らかな性格へと変わっていた。何もかもが順風満帆なS。そんな風に見えた。


その日の帰り道。
ぎこちない会話が続いた。
勉強のこと。部活のこと。そして...年々タイトルを新たにしながら、互いが未だに遊び続けているゲームのこと。そのキャラクターのこと。

ほとんどの会話は、一問一答のようで、ぽつり、ぽつりとした応酬だったけど、
キャラクターのこととなると違った。
目の色を変えて、Sは、○○はああいう所がかわいよね、ここをこういう風にしたらめっちゃかわいくなって、こういうポーズ取らせたらどうのこうのになって、最高で、こういう絵を描く人がどうの、...と、いきなり、ひっきりなしに話を続けた。
僕は少したじろいで、うん、そうだね、と続けた後に...そのキャラについて、「今(対戦で)こういう使い方されてて、ステータスをこうする人多いから考えて突破しないと大変だし火力が...」などと返した。
同じキャラの話題のハズなのに、互いの解釈の不一致。Sも、作ったような笑みで、少し目を丸くさせながら「う、うん、そうだね」と返した。
ひどい会話だったと思う。しかしこの日の帰り道、一番互いが話すことが多かったのが、この部分だった。なんて会話なんだ。
そして再び沈黙が訪れた後、Sは「わたし(帰り道)こっちだから」と告げ、別れた。去り際にSは、「今度勉強教えて!」と手を振りながら叫んだ。僕も軽く手を振り、素っ気なく返した、うん、と。
その後の数分間の一人の帰り道、僕の脳内を後悔の念が支配していた。
もっと話すべきことがあったのではないか。もしくは、話さなくてもよいことを話してしまったのではないか。嫌われてしまったのではないか。むしろなぜ、嫌われて”しまった”などという思考回路なのか。答えのない、自問の思いだけがひたすら脳内に浮かび上がる。

以降の部活や、最終学期の日々でも、Sと僕の会話は、何か事あるごとに一言二言事務的な会話を交わす程度だった。

春休み中。部活に行く機会はあったが、Sとの接点はない。”勉強を教える”機会も訪れてはいない。

ある日の部活のことだ。
僕が席を立ち、トイレで用を済ませて、部室に戻ろうとした瞬間だった。

いつもSと座席を近しくし、よく通る声で話し、口数も多めな同級生のある部員の話し声が、開いたままの部室のドアから聞こえてきた。




「Iくんって、なんでいつも一人なんだろう。絵も普通な感じだよね。もうすぐ二年生になって後輩できるのに、大丈夫なのかな。てかあの人って、何考えてるんだろう」




自分が心の中で思っていることを、端的に彼女は、悪意もない様子で言い現していた。彼女の話し声だから、声が良く聞き取れてしまった。

部室に戻る直前に、その声が聞こえてきたのだ。
ショックのあまり、僕は一歩、二歩とゆっくり足を引きながら、やがてきびすを返して再び足早にトイレへと向かった。最中、先の発言にSが何らかの言葉を返していたようにも聞こえたが、何も聞き取れなかったし、聞く心の余裕などなかった。
男子トイレに入る。個室に入り、ドアのカギをかける。便座の上に腰を下ろし、深く息を吸い込む。吐く。心臓の鼓動も、わざとらしいほど早く、うるさく感じる。息も、鼓動も、そのリズムが安定しない。これが過呼吸というやつか。すぐに、我慢できずに涙が溢れてくる。今度は、連動してか嗚咽が漏れ始める。それが止まらず、ひっく、ひっく、としゃっくりが出始める。なんて慌ただしい反応の連続だ。この情けない落ち込みようと、声が、誰にも見えない、聞こえない事を祈りながら、僕は抑えきれない嗚咽を漏らしながら、10分ほど個室の中にうずくまって、泣いた。
片手は強く口を塞ぎつつ、親指と人差し指の第一関節の上部を使って、息が漏れないよう鼻の両際を押さえ込んで鼻の穴を塞ぎ、もう片方の手は両目から止め処なく流れる涙をひたすらこする。
早く泣き止め。早く収まれ。そう祈りながら、自分では静かにしているつもりで、泣いた。





















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自己紹介みてぇな文章だぁ...
後マジでフィクションです。厨房の僕は部活中普通に友達とヘラヘラしてました。
引き出しがそのくらいしかないのかお前はぁ(真顔)



要望 or (気分と体力があれば)続きは投下します
気まぐれにかいたものなので、続かないかもしれません
L氏掘り下げたくはなったが

ナオ


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