【チョロトド小説】その心中は
あろえ 小説 おそ松さん最高ランク : 29 , 更新:
六つ子3男と6男の腐風味。
闇十四松小説もあったけどとりあえず投げたかった。
改行が皆無。
このサイトにおそ松さんクラスタとか小説の需要があるかこれで判断してPixiv行くか決めるかもしれないかもしれないかもしれない(訳:別に関係ない)
*
「……ねえTotty」
「何?やめてよそんなカラ松兄さんみたいなネイティブな読み方」
「……スタバァでのアレ、結局どうなったの?」
「俺の解雇と俺らの表参道出禁」
「……あー……」
此処は原宿・竹下通りを少し外れた所の小さなカフェ。シックな雰囲気でとりあえず松野家は全く似合いもしない筈なのだが、そこの窓側のテーブル席にチョロ松とトド松は居た。だがそれは只のチョロ松とトド松ではない――神的にお洒落な成人男性二人組である。
話を遡る事一日前。
「……チョロ松兄さんってさ、ダサいよね」
「えっ何唐突に!?そんなダサい!?」
にゃーちゃんのイベントから帰ってきたチョロ松を見て、思った事をオブラートに包みもせずそのまま投げ付けるトド松。卓袱台に頬杖をついたまま改めてチョロ松の姿をまじまじと眺めると、うんやっぱダサいと言わんばかりに大きく頷く。今の彼は緑と黒のチェックシャツにベージュのパンツ、アイドルのキモヲタを体現したような姿だ。お世辞にしてもダサい。カラ松は痛めなジャケットとかバスローブで大丈夫(なのかわからないが)だし十四松とおそ松はもうあのダースで買われた色違いのパーカとスーツで良さそうだし一松はそもそも家から出ない事が多い。チョロ松兄さんが一番色々とマトモなのになぁ、と思いながら、トド松は名案を思い付いたと笑った。
「チョロ松兄さん明日原宿行こ?どうせ暇でしょ?」
「うん、まあそうだけど……なんで?」
「俺がプロデュースしたげる!」
語尾に音符が付きそうな言葉に、チョロ松は戸惑い気味に目をぱちくりとするしかない。……今までトド松がこんなことした事あったっけ?なんてぼそりと呟くも、記憶は蘇ってはこなかった。
そして本日。
「わーい原宿ー!」
「え"、ななな何ここ……」
原宿までずるずると引き摺られたように半ば無理やり連れてこさせられ、その竹下通りのファッションモンスターな雰囲気に気圧されるチョロ松を尻目に凄くノリノリで楽しげにしているトド松。普段わりと振り回されてる組だが、全員昔やんちゃしてた奴らだ。振り回したくない訳がない。今回はチョロ松が振り回される着せ替え人形ポジションに嵌った。といってもこの兄弟、1話のあれでもうお分かりだと思うがそれなりにイケメンで無駄にイケボ。チョロ松だってDT臭さと真面目系屑の要素がなければかなりのイケメンだったはずだ。兄弟――特にチョロ松とトド松は、傍から見れば普通にそれなりにイケメンなのである。それもそうだ、一番性格的にもマトモな成人男性な二人なのだから。松野家六つ子の(まだ一応どっちかというと)マトモ(な屑)ランキング1位と2位。(イヤミ調べ)。トド松は表参道のスタバァでバイトする時点で他の奴らとは格が段違いだ。チョロ松は率先してハローワークへ行く――ただし意識高い系なのもあり定職に就けない――し、周りにボケが集まりすぎてツッコミに落ち着いている。(まだ)マトモ(な方)なのだ。顔は基本同じだしイケボレベルも同じ。つまり本気出して一番モテるのは彼らなのだ。だからこそトド松は、チョロ松は兄弟で唯一の着せ替え甲斐がある人材――おそ松は金をせびるしカラ松は無駄にキメるし一松は猫背、十四松はじっとしてくれないので一番マシなのはDT臭いだけのチョロ松――と内心思ってたりしている。対するチョロ松も一番お洒落なのはどう見てもトド松――おそ松と十四松はファッションに興味が薄くカラ松は厨二病要素満載、一松はトト子ちゃんの家に行った時まさかのダサさしかない破天荒スタイルだった――と確信していた。だから今回は、双方にとって安心感のある日となったのである。
原宿のあらゆる所へ連れて行かれガンガン試着と購入――実は昨日少しだけパチンコで勝ったらしいがよくあの兄弟にバレなかったと思う――を繰り返し、最終的にチョロ松は、早稲田の文系みたいなスタイルになった。顔が堅苦しいDTなのが難点だが、それ以外は凄くお洒落である。早稲田の文系がお洒落なのかはよく分からない。多分これで表参道を歩けば確実にモデルにスカウトされそうだが、前述した通り彼らは表参道出禁。惜しい事をした。自業自得だが。
「ねえ、あそこの女の子俺らの事見てるよなあ……!?」
「やめてよDT臭い、今はチョロ松兄さんかなりイケメンなんだから●リチン顔してなよ」
「ヤ●チン顔って何!?」
少し声のボリュームを下げてひそひそと話すDT――じゃなかった、チョロ松。女の子が絡むとポンコツになるというトド松の評通り、イケメン化したらしいし自分が視界の中に入ってる女の子は皆見てるんじゃないかと敏感になっている。確かに数人はこちらを見て何か楽しげに話しているのだがその数人には気付かない鈍感っぷり。やはりポンコツである。不意にトド松の頼んだ苺プリンパフェとチョロ松の頼んだシュークリームが届き、ふっと二人揃って万年の笑みを浮かべた所で端から小さな歓声が上がった。トド松が恥ずかしそうに頬を赤らめながらチョロ松兄さんなんでそれには気付かないんだよ、と内心悪態をつく。
「トッティー、こないだの合コン、ほんとごめんな?」
もふ、と顔より大きいようなシュークリームを頬張りつつ言うチョロ松をジト目で見る。
「何?今更謝られたってもう俺クビなんだけど」
「……いやだって俺あれだよ、可愛い弟の姿を見に行こうという親心ならぬ兄心で」
「嘘つけ、それじゃ何あの登場!?最悪の兄心だよ!?」
「ぐっ……いや、その場のノリっていうか……」
何を言ってみても正論が返ってきて、やはりトド松に言葉で何とかするのは駄目かと小さな溜息。カラ松の時もそうだったけど流石にアレはやっぱり謝らないと良心が痛むしなと頭を掻くと、でもこれ言うのは恥ずかしいんだけどな、と前置きして口を開く。
「……羨ましいじゃん?表参道で女の子とバイトして合コン行くんだよ?超羨ましいよほんと」
「……うん、まあ、だろうね」
やっぱそういうとこポンコツというかチキンだし、兄弟に流されて感情を理性で抑えられないとこは昔と同じだなとかぼんやりと思って。
「まーいいよ、あの後ネットで祭りだったし」
「え待ってそれどういうこと!?」
トッティクソコラグランプリ。SNSをフル活用してるトド松――否、トッティにとって目に入らない筈もなかった。あんなコラなのに満更でも無かったのだろうか。まあ兄弟一目立ってはいたけれども。そんなリアルな話は置いといて。
パフェの身長を数センチ縮めたところで、トド松がふと声を上げた。
「……あっこのパフェ、下の方超美味しい」
「えっ嘘マジで?一口貰っていい?」
こう、相手に了承を得てから食べるのもチョロ松とトド松だけだ。了承を得ないままこっそりぶん取る兄弟、何というかとても屑である。
「いいけど……はい、あーん」
「え、いいよスプーン貸してよ」
「やだよ、手汚いじゃん」
原宿のど真ん中なのに成人男性同士であーんは見苦しくないか、とボヤきつつも、まあしょうがないかと勝手に納得して、あーんと言いながらスプーンの先をくわえた。
「うわうま……」
「でしょ!これチョロ松兄さん好きそうな味だなって思って!」
思わず感嘆の声を上げれば、トド松がにこにこと笑う。それはパフェが届いた時よりも可愛らしく嬉しそうな笑みだったけれども、それすらチョロ松は気付かない。
「それだったらこっちのもトド松好きそうだけど」
「ほんと?頂戴!」
「手汚れるよ?大丈夫?」
「じゃああーんしてよ?食べたい」
甘えん坊めと呟くも、やはりトド松は一切ダメージを受けず。シュークリームを千切り、トド松に向かって手を伸ばす。はむ、とシュークリームの欠片をくわえると、ぷっくりとした唇がチョロ松の指先を掠めた。
「……ん、美味しい!」
「だろー?好きだと思った」
「あれだね、やっぱ兄弟の好みって分かるもんなんだね?」
「……あー、でもトド松以外は分かり辛いよ?気分屋多いから」
――――このくそDT。
わざわざあんなにあざといパフェ食べてあーんもしたりされたりして唇も触れさせたのになんで、意味分かんないんだけど。なんでチョロ松兄さんはこんな鈍感なの。俺からしたら何着たってもう着こなしてくれるんだしそんなダサいとも思わないのにわざわざデートの口実も無理やりつけてなんでここまでやっても気付かないの。それでこの発言とか心臓破裂で死ぬぞ天然人たらし兄さんめ。もしも今告白したとして絶対戸惑って3週間は返してくれないか断るかするだろうし絶対その後距離が開くよね。駄目じゃん折角ここまで縮めて、もうパーじゃん。あ、でも告白すれば意識してくれるよね?そしたら好きじゃなくとも好きだって勘違いしちゃうの狙う?いやーでもリスク高そうだなあ。チョロ松兄さんだったらイケそうな気がしなくも無いけど……おそ松兄さんに相談したら計算高すぎって言われるんだろうなあ。っていうかパチンコで勝った金見逃してくれる代わりに俺も一松兄さんの相談受けなきゃだ面倒くさいなぁ、カラ松兄さんなんか簡単なんだからいいじゃんよー。
そんな様々な感情を押し殺して笑う。相変わらずチョロ松のその純粋無垢な笑顔は微塵も●リチン的な雰囲気とか計算高さが感じられない。いつかこの想いが届く時が来たら溜め込んだの全部ぶつけるんだからね、なんて思いながらそのヘタレでチキンそうな、それでも最大級に好きな顔をじっと眺めた。
――――なんか、俺の事見てる?
想像以上に美味しいシュークリームを夢中になって食べていたら、なんかトド松が見てる、気がする。思いがけず綺麗な瞳に見据えられ思わずたじろいだ。……実際、周りの女の子達皆トド松の事見てるよなあ。だから俺巻き添え喰らいそうじゃん。羨ましいよ、モテ体質。俺と顔一緒だろ?なんで?何が違うの、女子力とコミュ力?あー納得。俺表参道のスタバァでバイトは無理だしな。慶應生っていう演技とかカラ松でもないのにそんな巧くできないし。……ああ、羨ましい。よくもそう人の目を奪えるもんだね。たまに俺も見惚れる時あるもん、トド松に。
そんな事を考えながら少しトド松を見つめると、不思議そうに小首を傾げた。くそ、可愛い弟め。
「……美味しい?」
「……うん」
気まずくなって思わずそう問いかければ、また不思議そうに純粋な笑顔で首を縦に振る。小さく胸が高鳴った意味は、きっと思いがけない弟さに少し驚いたんだろうな、なんて。
「ねえ、チョロ松兄さん」
――――なんで兄さんは、そう鈍感なのかな。
――――兄さんのせいで俺すげえ苦労してるんですけど?
「何?トド松」
――――羨ましいっつーか眩しいよ、俺すら目を奪う程のお前が。
――――俺の目を奪うとかって意味無いだろ、無駄に魅力が放出されてるぞお前。
其の心中は、如何ばかりか。
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